すきっ歯は自然に治るの??
歯並びの相談は年々とても多く、増えて来ているように思います。
多分お子さんのムシ歯が減っているのと、
その分、保護者の方のお子さんの歯並び・健康についての関心が高くなっているのかもしれません
園や学校の歯科検診だけでなく
1歳半や3歳の検診でも歯並びに問題がないか検査項目にあるので、
1歳位のお子さんからの歯並びの相談も多くなっています。
歯並びの相談で多いのは
・自然に治るのかどうか?
・やるならいつからがいいのか?
・期間は?
・装置は?
・痛みは?
そして
やっぱり料金です。
料金については先生の考えによって治療法が異なり、
それによって使う装置も違うので料金設定も医院ごとに異なってしまいます。
そこがまた、患者様からすると分かりにくい所ですよね
ホームページにおおよその料金が出ていることも多いと思うので、参考にして頂けると良いです
後はお母さんネットワークを利用して情報を入手している方も多いです。
料金はお子さんの歯並びの状態によって大きく異なりますので、
まずは歯医者さんでお口を見てもらい、相談されるのが良いと思います
小さいお子さんの歯並びの相談で、代表的なものには上の前歯のすきっ歯です。
「上の前歯がハの字で生えて来ちゃって、隙間が気になる」
こんな相談を受けますが、
実は上の前歯はハの字で隙間が空いて生えてくるのが正常です。
上の前歯はハの字に拡がって生えて来ることで、それによって上顎の幅がグッと成長します。
そして、2番目の歯が生えてくる時に、
先に生えている1番目のを中央に押すように出てくることで、隙間が減少します。
さらに3番目の歯、(糸切り歯とか犬歯とか言われる歯)が生える時にまた更に押されて隙間が閉じて来るのです。
うまくできていますね
大きい永久歯が生え揃うために
生まれつき仕組まれた成長のためのプログラムであって、上顎の幅を拡げるために、一時的にすきっ歯の時期がある訳です
専門用語では「Ugly Duckling Stage」
日本語にすると「みにくいアヒルの子の時代」って言われています
これは自然で必要な時期ではあるので、すきっ歯自体はそれほど気にする必要はありません。
ただ、すべての子が成長とともに歯並びが改善するわけでは無いので注意が必要です。
自然に治るタイプかどうか見極めなければならないポイントとしては
「上唇小帯」があります
その上唇小帯が、上の前歯が生え替わる時期になってもまだきついままだと
ハの字に生えて来た前歯の隙間は自然に歯閉じにくくなってしまいます。
だから、上の前歯が生え替わる年齢になっても
まだ上唇小帯がきついままのお子さんは、伸ばしてあげる必要があります。
他にも見極めねばならないポイントがあります。
それは歯の本数です。
もともと2番目の歯がない子も少なくないです。
専門用語で「先天欠如」と言って、生まれつき歯の本数が少ないことがよくあります。
親知らず以外の、
普通の歯の本数が少ないお子さんが10人に1人以上います。
ちなみに上の2番目の歯の本数が少ないお子さんの割合は、約2~3%という報告もあります。
2番目はあるけれど特別小さい歯だったり、咬み合わせが深いタイプだったりする場合も注意が必要です、
そしてもう1つ、
歯の本数が多くて隙間が閉じ難い場合が、
専門用語で「過剰歯」と言います。
過剰な歯と書いて過剰歯。
過剰歯が邪魔になって歯の隙間が閉じてきにくくなってしまいます。
過剰歯ができやすい場所は断トツで上の1番目の歯と歯の間です。
上唇小帯は歯ぐきの唇側に、顔の前方にあるが、
過剰歯はその反対側、顔の後方部に左右どちらかに少しズレて埋まっていることが多いです。
もっと言うと、普通の歯は咬む面に向かって歯の先が向いて埋まっていますが、
過剰歯は逆向きに埋まっていることの方が多い
逆向きの過剰歯でも、希なケースではありますが、
放っておくと鼻の穴の中に過剰歯が生えて来ることもあります。
つまり、自然に治ることが多いと言われている、上の前歯の生え替わりの時期のすきっ歯が、
自然に治るタイプかどうかは、
歯の大きさや本数、上唇小帯のきつさ、そしてお子さんの歯並びのタイプなどまで診る必要があります。
ちなみに、上唇小帯はタイミングを逃さずに相談に来てくれれば
上唇小帯を伸ばしてあげることで、
矯正の器具を使わなくても隙間が自然に閉じ易くなるお手伝いもできます。
矯正治療となると基本保険は利かないのですが、上唇小帯を伸ばすのは保険が利く場合も多いので、
就学前の子で乳幼児医療受給者証をお持ちのお子さんであれば
500円で伸ばすことも可能です。
就学前に
上の前歯が生え替わっているお子さんはほとんどいませんが、
先手を打っておくのもいい場合もあります。
上唇小帯を伸ばしてあげると
お乳を飲む量も増えたり、受け口が治りやすくなったりするとも・・・
そういったこともあるので、
小さいうちに上唇小帯を伸ばされるかどうかは、お子さんの性格を考慮して選ばれたらいいと思います